「先生が通知表をつけるのはおかしくないか?!」-学校と塾の授業の違い

学校と塾には、子どもたちに勉強を教えるという大きな共通点があります。しかし、学校の先生にも、塾の講師にも、世間の皆さんの中にも、両者が同じだと思っている人は、ほとんどいないのではないでしょうか。学校と塾の違いについて、学校と塾の役割に触れながらお話ししたいと思います。

学校と塾の授業の違い

  • 学校の先生は教えっぱなし?!
  • 塾は第一に学校の授業を補完する役割がある
  • 塾にも人間教育の場としての役割がある

学校の先生は教えっぱなし?!

学校の授業は教えている本人が、つまり担任の先生が成績を付けます。自分が教えておいて、自分で通知表に、時には1や2とつけるのです。学校の先生はそういうものだと思っているので、誰も不思議に思いませんが、とてもおかしなことだと思いませんか?

塾の講師なら、教えておいて、成績が1にしかなりませんでしたね!なんてとても言えません。塾の講師は学習の結果や評価に対して責任を持たなければいけませんが、学校の先生にはそれがないのです!学校の先生は教えっぱなしなのです。

学校の役割は、教育基本法や学習指導要領にのっとって、全国の子どもたちに「教育の機会均等」を達成することです。まずは、子どもたちに、その年齢に応じた知識や教養を教えてあげるのです。

中には、それを完全に習得できる子もいれば、不完全なまま次の単元へと進む子もいます。しかし、それでいいのです。学校の先生は教えっぱなしでいいのです。それで学校としての第一の役割は終了です。

塾は学校の授業を補完する役割

そこからは学習塾の出番です。塾の役割の1つ目は、学校の補完です。学校の授業レベルでは物足りない子、学校の授業内容があまり理解できていない子、成績やレベルの高低に関係なく、学校の授業を補完する役割を担っているのが塾です。

ある大手の学習塾が「わかりやすい授業コンテスト」を主宰していました。授業をする学習塾は、常に「わかりやすい授業」を追求していかなければならないので、塾の講師たちの授業力をアップさせるようなイベントはとても有意義だと思います。

しかし、それは我々塾の第一の目標ではありません。むしろ「わかりやすい授業」は学校の先生が追い求めるものです。生徒のレベルでクラス分けのできない学校では、同じ教室でいろいろな学力の子どもたちが授業を受けます。

勉強が苦手な子でも理解しやすいように「わかりやすい授業」をするのは学校の先生の使命です。しかし、我々塾は違います。

たとえ、学校より先にその単元を教えるとしても、常に「その子は何がわからないのか?」「その子はどこでつまずいているのか?」「その子はどのような志望校を目指してここにきているのか?」など、それぞれの目的や状況に即応して指導していかなければいけません。

それは個別形式の塾であっても、集団形式の塾であっても全く変わりません。塾では、先生と生徒は常に「1:1」なのです。学校では先生と生徒が「1:30」でも、塾の集団授業では「1:1」×30なのです!それが学校と塾の違いの1つ目です。

塾にも人間教育の場としての役割がある

ある大学の教育学部の教授が、講演会で「学校は教育、塾は受験!」と、学校と塾のすみわけについてお話しされていました。確かに、そのとおりだと思います。

学校は勉強だけでなく人間的な教育を含めた総合的な教育をする場であるのに対して、塾はテストや入試で結果が出せるようなスキルを伝授しトレーニングする場であるということです。

ところが、実際はどうでしょう。人間教育は学校だけで行われていることなのでしょうか。例えば、わが子をサッカーチームに入れる保護者はどのようなことを期待して入団させるのでしょうか。みんながみんな、わが子をJリーガーにするつもりで入団させるのでしょうか。

サッカーを通じて、仲間との協力や勝利への執念など人間的な成長も期待しているはずです。これは習い事全般に当てはまります。上手にピアノが弾けるようになるためだけにピアノ教室へ行かせるのではなく、ピアノを通じて豊かな情緒を養ってほしいとか、そろばん教室で計算の達人になってほしいだけではなく、集中力もつけてほしいとかetc.

そして、それは当然塾にも当てはまります。学校だけでなく、塾も人間教育の場としての役割を担っているのです。決して好きではない勉強に向かう積極性や、宿題やテスト勉強・受験勉強を計画的に取り組む自発性など、学習を成功させるために必要な人間性は社会に出てからも重要なものばかりです。

我々はそれらを「勉強で教えている」のです。決して「勉強を教えている」のではありません。学校は英語や数学、算数や国語を教えて、つまり「勉強を教えて」、校外学習や体育祭・部活動などを通して協調性や忍耐力を教えます。学校はそれでいいのです。

ココがポイント

しかし、塾は英語や数学、算数や国語の授業を通じて、社会や学校生活で大切になる協調性や忍耐力も教えるのです。

つまり、塾は「勉強で教える」のです。「勉強を通じて人間教育を行う」のです。

これに気づいていない塾が非常に多いように思います。いかに英語をわかりやすく教えるか?どうやったら算数をわかってもらえるか?という視点ばかりで授業の組み立てを考えていたらいつまでたっても自塾の強みは出てきません!

山崎輝史
自塾の強みを言葉にし、自塾の良さを理論的に構築していけるか。「塾講のコンサルアカデミー」では、マーケティングやコミュニケーションのスキルだけではなく、どのようにすれば自塾の自塾の集客を自動化できるかというマネジメントについても学んでいます!

 

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