保護者から信頼される7つの人格要素

安定的な学習塾を経営する上で欠かせないポイントの1つが保護者からの信頼を勝ち取ることです。

実際に通うのは生徒であったとしても、入塾の決定権を持つのは保護者だからです。

しかし学習塾を経営する中で、ミスマッチの起こるコミュニケーションによって生徒が塾をやめてしまったり、保護者からのクレームが生じたりしたことのある方も少なくないことでしょう。

完全に0にすることは難しいものの、対策を打つことでクレームの数を減らし、保護者から信頼を得ることはできます。

そこで「保護者から信頼される7つの要素」についてご紹介します。

定期的に新しい塾生が増え、入塾した生徒が継続的に通うためには保護者から「この塾なら大丈夫」「この塾に任せて正解だった」と感じてもらえるように、信頼を構築することが肝心です。

ところで、あなたは保護者から信頼を勝ち得るためにはどのようなことが必要だと思いますか。

生徒にわかりやすく勉強を教えられるスキルでしょうか。

それとも実際に学力アップをさせた実績やデータでしょうか。

実際にはそれらは一部にすぎません。

100人いれば100人の考え方があります。

講師のスキルや経歴を気にする保護者もいれば、塾自体の有名高校や大学への合格率、偏差値や学校の成績の上昇に重きを置く保護者もいます。

また、生徒に勉強熱心に情熱を注ぐ姿勢を求める保護者もいることでしょう。

ここでは人の心理やパターンを踏まえて、保護者から信頼される7つの要素をご紹介します。

はたして、あなたの経営する学習塾は何個満たしているでしょうか。

1.誠実さ

1つ目は「誠実さ」です。

当たり前のことですが、保護者から信頼されるためには誠実に向き合う姿勢が必要不可欠です。

さて、誠実に向き合う姿勢を聞いて、対象は誰を思い浮かべましたでしょうか。

もし保護者のことだけを思い浮かべたのなら、保護者から深い信頼を勝ち取るのは難しいかもしれません。

保護者に対して嘘偽りなく誠実に向き合うのは当然のことです。

けれども保護者にとって子どものことへの関心が強く、目に入れてもいいくらいかわいい存在です。

その子どもに対して、誠実に向き合わない講師や学習塾に対しては「人によって態度を変えるのね」「子どもだと思って……」と心を閉ざしかねません。

小学生、中学生だからといって、明らかな子ども扱いをしたり、保護者にだけ親切な姿勢は信頼を失います。

小学生や中学生であっても一人の人間です。

真正面から向き合うようにしましょう。

保護者に対しても、生徒に対しても誠実にかかわることで、「信頼」を少しずつ蓄積することができます。

これは学習塾を経営するあなただけでなく、専属の講師やアルバイト講師においても言えることです。

ぜひ所属するすべての方々が保護者や生徒に対して誠実にかかわるようにしましょう。

2.熱心さ

2つ目は「熱心さ」です。生徒の成績が上がるように熱心に指導していますでしょうか。

もちろん、多くの学習塾が本当に生徒や保護者のことを思って熱心に指導をし、つねにわかりやすい授業や指導ができるように工夫していることと思います。

さて、その熱心さや情熱度が保護者に伝わるようになっていますでしょうか。

一生懸命に向き合っていれば保護者にも伝わるはずだと思う方もいるかもしれませんが、伝えるのと伝わるのは異なります。

CMM理論はご存知でしょうか。

コミュニケーションの理論の1つですが、CMM理論では人が何かを発信したものがそのまま相手に受信されるのではなく、媒体を経由して一部が相手に受信されるものとしています。

受信可能な情報量については諸説ありますが、10~30%程度が情報として伝わる程度と言われています。

つまり生徒のことを思って熱心に指導をしたり、真剣に向き合ったりしていても、保護者に伝わる情報はそのうちの1~3割程度にすぎないということです。

誤解やミスマッチが生じる理由はここにあります。

生徒のためを思って日々努力をし、熱心に指導しているのなら、そのことが保護者に伝わるように工夫が必要です。

熱意さえあれば伝わるとの油断は厳禁です。

3.親しみやすさ

3つ目は「親しみやすさ」です。

あなたが困ったことがあったときに2人の人がいたとします。

1人はニコニコと穏やかで親しみやすい雰囲気の人、もう1人が仏教面でむすっとした雰囲気の人、さてあなたならどちらに相談したいでしょうか。

たいていの方は前者でしょう。

人が相談したくなるのは親しみやすさを感じる相手です。

ちょっと相談したいことや困ったことがあったとしても、近寄りがたいと感じる相手や怖そうに見える相手に対しては心理的な距離感が広くとられます。

人にはパーソナルスペースという個人空間があります。動物で言うところのなわばり意識です。

全く知らない人が相手の場合には、警戒心が働いてパーソナルスペースを広く取ります。

反対によく話す相手や気心知れた相手に対してはパーソナルスペースを狭め、私的な空間に入ってくることを許します。

塾講師に相談したいことや気になる点があったとしても、心理的な距離感が空いた状態では相談しようと行動に移してもらえません。

それでは保護者が不満や不信感を保護者が一方的に募らせる形になります。

なるべく親しみやすい印象を与えられるように、積極的に保護者や生徒に声をかけたり、笑顔でいる時間を増やすと良いでしょう。

もともと強面な人や仏教面の人だけが注意すべき問題ではありません。

人は何も考えずに無表情でいた場合、怒っていたり、不機嫌なように映ったりします。

意識的に柔らかな親しみやすい雰囲気になるように心がけることも大事なことです。

「相談」は一種の自己開示。

「本当は思ったよりも成績が上がらなくて、このままでいいか迷っている」

「本当は家でも勉強習慣をつけてほしいけれどしてもらえなくて困っている」

などの内容は、誰に対しても話せる話題ではありません。

保護者が学習塾に対して信頼を寄せられるかどうかは、講師や塾自体の親しみやすさも関係します。

4.清潔感

4つ目は「清潔感」です。

仕事をする以上はほとんどの人はワイシャツやジャケットに身を通し、清潔感の持てる装いをしていることでしょう。

注意が必要なのは経営している学習塾のアルバイト講師です。

たとえアルバイト講師であったとしても、身なりを整える必要があります。

就職活動中の面接のようなカチッとした服装である必要はありません。

「ひげは剃る」「だらしなく伸びた髪はカットする」「寝ぐせは直す」「授業時はスーツやきちんとした身なりをする」などの基本的な部分を押さえておけば大丈夫です。

女性のアルバイト講師に関しては、最低限のお化粧は身だしなみに含みます。

しかし過度なメイクは保護者からすると「この人に任せて大丈夫かしら」と心配される恐れがあるので、その辺りは注意しましょう。

5.確かな指導力

5つ目は「確かな指導力」です。

学習塾である以上は講師の指導力は求められます。

たとえ人柄が優れ、相談しやすい雰囲気や真摯な対応などができたとしても、わかりづらい説明や解説では、塾生の学力アップは厳しいでしょう。

「話しやすいけれど、何を説明しているのかわからない」

「解説が理解しづらい」

「質問しても理解できる説明をしてもらえない」

などの状態では、生徒の不満も募り、信頼関係の構築は難しいといえます。

学習塾である以上は講師1人1人が確かな指導力を持つことです。

生徒それぞれは、何が理解できていないのか?どこでつまずいているのか?を的確に把握して、それぞれの課題を明確にしてあげる必要があります。

学習塾の講師が国公立卒業の講師で学歴が高かったり、知識量が多かったりしても、説明する力や生徒のわからないポイントに気づいて正解に導く力が足りていないこともあるかもしれません。

必ずしも学歴や偏差値の高さと教え方や指導力は比例しません。

そのことを念頭に置き、指導力強化は不可欠です。

また、学習塾によってはA先生の説明はわかりやすいけれど、B先生の説明はわからないなど先生間の評判に差ができてしまっているかもしれません。

その際には、わかりづらい説明をしている講師に対して説明のしかたの伝授やフォローをすることで、だんだんと指導力をつけていくこともできます。

保護者の信頼を得るために講師1人1人の指導力を高めるための講師研修は定期的に開きましょう。

6.自信

6つ目は「自信」です。

5つ目同様に保護者が子どもを学習塾に通わせたい理由としては成績上昇や志望校の合格などの成績面が大きく関係しています。

保護者から信頼を勝ち取るためには学習塾そのものの実績を出し、塾としての自信を講師自身から醸し出すことも大切です。

7.一貫性

7つ目は「一貫性」です。

あなたの学習塾では講師は長く働いていますでしょうか。

学習塾によっては正社員や契約社員のみで講師を募集しているところもあるかもしれませんが、生徒の数によってはアルバイト講師が多い塾もあることでしょう。

たとえアルバイト講師であったとしても、クラスや生徒を受け持っている途中で辞めてしまうと、塾生にとってはストレスになります。

新しい講師の教え方や性格などが塾生に合えばよいのですが、そうでない場合には馴染めなかったり、信頼関係がうまく構築できずに成績が上がらなかったりなどの不本意な結果を招きます。

途中で担当塾講師が変わることは、塾生だけでなく保護者からの不信感や不満を抱く1つの要因になります。

特にコロコロと塾講師が変わったり、講師の変更が多かったりすると、「落ち着かないから転塾したい」「信頼できないから退塾したい」などの結末になりかねません。

正規雇用の塾講師だけでなく、アルバイト講師の安易な退職を予防しましょう。

もちろん、家庭の事情や体調などのやむを得ない理由で退職する講師は出る恐れはありますが、採用時や定期的な面談時に対策を打つことで、退職率を低下することは可能です。

講師の退職を防ぎ、一貫して合格や卒業のタイミングまで責任をもって担当することで、塾生は安心して勉強に集中でき、塾生や保護者の信頼を高めることに通じていきます。

人は一貫性のあるものに対して高い評価をします。

三日坊主で飽きっぽい人と、初志貫徹で何年も継続している人とではどちらが信頼できるでしょうか。

多くの人が後者と答えることでしょう。

これは一貫性の法則と読み、ビジネスの中でも重要視されます。

塾生と保護者からの信頼を集めるために一貫して同じ講師が授業や指導を受け持ち、途中でコロコロ講師が変わることの内容に対策を撮りましょう。

人が商品やサービスを購入する際に意識するポイントが2つあるとされています。

1つが人柄です。生徒への熱意や真摯さ、親しみやすさなど、人として信頼できる人柄が挙げられます。

もう1つが技術力です。プロとして頼りたくなる実力や経歴、スキルなどが挙げられます。

学習塾も保護者が毎月塾代を支払う商品(サービス)を提供しています。

安心して保護者の方が「通わせてよかった」と思えるようにするには、講師が前述の2つとも備えている必要があります。

すでに講師の実力が高く、満足いく合格実績があったり、保護者からの信頼を勝ち得てると思えるとしても、さらに上を目指すことでさらなる保護者の信頼を勝ち取ることができます。

もしまだ満足のいく実績が出ていない場合には、より一層意識していきましょう。

自然と生徒が集まる学習塾を経営するためには保護者からの信頼が大切なのは言わずもがなです。

今回は保護者から信頼を勝ち取る7つの人格について解説しました。

あなたの塾では何個クリアできていましたでしょうか。

1日2日で変わることではありませんが、コツコツと努力を重ねていくことで中長期的に結果は変わっていきます。

塾生の学力アップや合格実績の上昇など、保護者の期待に応えるために努めましょう。

もし1つでもクリアできていない箇所がある場合には対策を早急に打ちましょう。

その対策のしかたで迷いが生じた場合には、ぜひ下記よりお問い合わせください。

真剣に生徒や保護者のことを思っている学習塾の力になります。


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