子どもの成績を上げるための授業運営方法とは

授業を開始してすぐに気が散ってしまう生徒がいたり、日によってやる気の度合いが著しく違う生徒がいたりしませんか。

集中力ややる気の波は誰にでもあるものです。

けれども成績を上昇させるためには、すべての塾生が毎回集中でき、成績が上がるための授業運営づくりをしたいところです。

そこで「成績を上げるための授業運営」について、お伝えします。

■そもそもなぜ集中できないか?

塾生の成績を上げるために、集中できる授業の運営は不可欠です。

しかし、体調が優れなかったり、クラスメイトとの関係がぎくしゃくしていたりなどの理由で、生徒が授業に集中できない日もあるものです。

体調や一時的な悩みによる集中力できない問題の場合は、次回までに体調が回復していたり、悩み自体が改善していたりすれば、元の授業を受ける姿勢に変わります。

けれども、なかには毎回数十分で気が散ってしまう生徒ややる気の波が大きい生徒もいます。

その場合には、集中できずに成績にも悪影響を及ぼしかねません。

それではどのように工夫したらすべての生徒が授業に集中できるようになるのでしょうか。

そのためにはまず、集中できない理由を明らかにすることが肝心です。

理由としては、6つ想定されます。

1つずつ見ていきましょう。

1.授業時間の長さ

1つ目の理由は「授業時間の長さ」です。

基本的に、人の集中力は50分で切れるとされています。

授業は50分程度が多いので、その辺りは問題ないでしょう。

もし60分や90分の授業を行っている場合には、集中が切れやすい状況です。

その場合には、30分おきに気分転換のための言葉がけをしたり、笑いを取るようなネタを入れたりなど、いったん脳をリフレッシュさせて集中できるための工夫をしましょう。

2.授業のしかたの工夫

2つ目の理由は「授業のしかた」です。

ふだんの授業運営はどのように進行しますか。

学校の授業のように講師が教えて、生徒が問題をひたすら解いていく形式の場合には、集中が切れやすくなります。

受動的な態度での学びは意欲も下がりやすいので注意しましょう。

集団指導のスタイルを取っているのなら、1人ずつ名指しで答えを回答させたり、近くにいる生徒同士で答えを出すために意見交換させたりすることで、ほど良い緊張感や主体者意識が芽生え、集中力も保たれやすくなります。

個人指導の場合においても、すぐに答えを教えるのではなく、質問を適宜使いましょう。

「なぜこの答えになると思いますか?」などのように答えに行きつく背景を質問したり、「どうしたらいいと思いますか」などのように質問で考えさせたりすることで、生徒の主体性が育まれます。

結果的に集中でき、成績上昇につながるでしょう。

3.生徒に合わない指導法の展開

3つ目は「生徒に合わない指導法の展開」です。

入塾生のことを本気で考えている講師が大部分かと思いますが、マインドとテクニックはまた別の話です。

10人いれば10人の性格や個性があります。

生徒1人1人に合った指導法を採用することで、理解できて集中して取り組むことに通じてきます。

集団指導で対応が難しい場合には、個人指導や少人数制の指導などに切り替えて、より理解を促しやすい環境を整えてあげると良いでしょう。

「授業が難しくてわからない」「苦手科目は興味が持てない」などの生徒の場合においても、じっくりとマンツーマンや少人数制でフォローしてあげることで、わからないまま進むことがなく、集中できる環境にできます。

最近ではADHDやアスペルガー症候群などの発達障害を持っている児童や生徒も増えています。

100名近い塾の場合には、数名いるかもしれません。

その場合には「集中しなさい」と伝えるだけでは効果を発揮せず、授業中に自分の席で集中し続けることが困難なこともあります。

発達障害がある入塾生に関しては「スケジュール化」「3つのポイント形式」などを採用することで、集中が持続しやすくなります。

スケジュール化は「今日勉強する範囲はここまで」「二次方程式の練習問題」など、具体的に何をいつ学ぶのかを見える化することです。

3つのポイント形式は「今日勉強で重要な3つは何か」を冒頭に投げかけて、終わりに再度確認する方法です。気が散りやすかったとしても、目的意識を投げかけることで集中できる時間が増えていきます。

4.目標が不明確

4つ目は「目標が不明確」なことです。

そもそも生徒はなぜ塾に通っているのでしょうか。

人が何かをやり始めたり、商品やサービスを購入したりするときには、2つのうちいずれかの動機で決定しています。

1つが「快楽」で、もう1つが「苦痛の回避」です。

快楽による動機は、現状に強い不満があるとは限りませんが、より良い未来を得ようとして行動に移します。

学習塾においては「志望校に合格するため」「成績を上げるため」「憧れの学校に通って、キャンパスライフを送るため」などの理由が挙げられます。

比較的にポジティブな動機が一般的です。

苦痛の回避による動機は、現状に何らかの悩みや不満、苦痛が生じていて、その悩みなどを解決しようと行動に移します。

学習塾においては、「成績が下がってこれ以上親から怒られたくないから」「授業がついていけなくて恥ずかしいから」「授業がわからない自分が嫌だから」などの理由が挙げられます。

さて、これらの動機をすべての入塾生がハッキリと自覚できていますでしょうか。

「授業についていけないから来ている」場合であっても、無意識の欲求である場合には「親が入塾させたから来ている」と理由がすり替わってしまうことがあります。

その場合には、「親が無理やり入塾させただけで、自分は塾に通いたかったわけじゃない」と勉強しなくてもいい理由がいくつも挙がり、勉強しなくなったり、授業中に集中せずに落書きしたりする恐れもあります。

もし入塾生が塾に通っている動機がハッキリしていないようならば、「○○さんはなぜ塾に通おうと思ったのですか」と質問をし、本当に通おうとした動機を引き出すスキルが求められるでしょう。

なかには、本当に「自分は成績が下がっていても気にしない。親が世間体を気にして塾に入れただけ」と思っている生徒もいるかもしれません。

その場合には、改めて動機を作っていくことが必要です。

動機が親になっている場合には、外発的動機づけになっています。

 

◆外発的動機づけ

外発的動機づけとは、賞罰や強制などによる動機です。

自らの意思ではなく、「親が塾に通わないと怒るから通っている」などの怒り回避という罰を避けるための選択肢としての塾通いをしている恐れもあります。

その場合には主体的に成績を上げようとの意思が芽生えにくくなります。

外発的動機づけの効果は一時的で、やる気がそがれやすく、集中力も持ちにくいでしょう。

内発的な動機づけに変える工夫が求められます。

 

◆内発的動機づけ

内発的動機づけとは、自らの意思や感情による動機です。

「成績が上がったら、受験できる学校の幅が広がって、自由に決められる」

「いつ先生にあてられても自信をもって答えられる」など

自らの沸き起こる感情や意思による行動のため、集中して授業にも取り組みます。

現在、外発的動機づけの生徒であっても、かかわり方を工夫すれば内発的動機づけに変わる可能性はあります。

「○○さんはどうなりたいですか」

「塾に通ってどうなったら嬉しいですか」

などの部分を質問し、自らの意思で通っていると感じられる状態にしていきましょう。

5.目標共有ができていない

5つ目は「目標共有ができていない」からです。

これは、2つの意味があります。

 

◆講師全体の目標の共有

1つは講師全員で目標を共有することです。

もう1つは、塾生・保護者との目標共有することです。

まず前者の「講師全員で目標を共有する」ですが、講師間での目標共有はきちんとできていますでしょうか。

講師間での目標共有は「短期的目標」「長期的目標」など、複数のバリエーションで共有が望まれます。

長期目標は「入塾生を100名以上にする」「国公立合格率を〇%にする」「有名私立大の合格者数を〇名にする」などの大きな目標が決ます。

最終的な大きな目標が決まることで、そのためにすべき短期目標に落とし込まれます。

短期目標は年間目標や月間目標などです。

たとえば短期目標として「受け持ちの生徒が全員80点以上取れるようにする」「生徒の偏差期平均3アップする」などです。

この際に、各々だけで目標設定するのではなく、講師全員で目標共有をするようにしましょう。

目標に向かって進んでいるつもりが、実際はズレていては最終目標には遠ざかります。

講師全体で共有することでばらつきが減少し、「何をやるべきか」「何を取り組むべきか」が明らかになります。

結果的にやることがクリアになって、生徒が集中しやすい環境づくりに役立ちます。

 

◆塾生・保護者の目標の共有

対する後者の「塾生・保護者との目標共有」は、1人1人と話し合い、きちんとヒアリングすることが不可欠です。

先ほどもいくつか例を出しましたが、生徒1人1人で塾に通う動機が異なり、最終的な目標が変わります。

1人の生徒は「A校に合格して、憧れのキャンパスライフを送りたい」を目標にしているかもしれません。

けれども別の生徒は「成績をアップして、偏差値よりも自分に合う学校を選べる自由を手にしたい」を目標にしている可能性もあります。

また保護者と生徒間での目標の相違もあるでしょう。

保護者としては「成績をアップさせて、国公立合格させたい」「偏差値を15上げて、有名私立校に通ってほしい」との思いがあり、通わせていることもあります。

まずは生徒・保護者の本当の目標をクリアにしてもらい、共有しましょう。

「授業についていく」を目標にしている場合と「有名私立校に合格する」とでは、取り組むべき課題が変わります。

かたや偏差値を3上げるだけで済むかもしれませんが、もう片方は偏差値15上げないと厳しいかもしれません。

それによっては取り組む問題の量やレベルも変わります。

それぞれの目標を共有してもらいましょう。

人に伝えることで「自分は何をしたいのか」が自身の中でクリアになり、「これを叶えるために塾に通っているんだ」と落とし込み、集中して授業に取り組むことにも通じてきます。

6.やる気を引き出すかかわり方不足

6つ目は「やる気を引き出すかかわり方不足」です。

集中力が不足する生徒に対して、失望したり、不安になったりすることはありませんか。

ひょっとすると、その気持ちが生徒に通じて「どうせ信じてもらえない」とやる気をそぎ、集中できない状況を招いているかもしれません。

講師や教育者などの期待が低い場合には、その期待通りにパフォーマンスを低下してしまうとされています。

これは心理学でいうところのゴーレム効果です。

生徒の成績を上げるためには、やる気を引き出すかかわり方が大切です。

 

◆ローゼンタールのピグマリオン効果

ローゼンタールが提唱したピグマリオン効果という言葉を聞いたことはありますか?

教育者の期待によって、生徒の学習成績が伸びる効果があるという理論です。

ローゼンタールが「今後成績が伸びるのはこの生徒たちだ」と伝え、担当教師が信じて期待を持って生徒指導に努めたところ、本当に生徒の成績が向上したというものです。

生徒は講師の期待を感じ取る力があります。「自分ならできると思われている」「期待されている」と感じることで、期待に応えようと成績を上げることが証明されました。

つまり、生徒の成績を上げたいのならば、担当する生徒に対して「この子なら絶対に伸びる」「この子なら絶対に合格できる」と期待をもって指導に当たることが大事なのです。

たとえ、今の成績が振るわなかったとしても、期待が伝わって「この先生は信じてくれている」と信頼を得ることになります。

結果的に、生徒のやる気を引き出して、成績アップに通じるでしょう。

生徒の成績を上げるためには、授業運営のしかたを工夫したり、生徒の性格や個性にあった授業の工夫をしたり、目標の明確をしたりなど、改善していくことが大切です。

講師陣も目標を共有しあい、志望校合格や成績アップなどの生徒や保護者の要望に応えられるように努めましょう。

動機づけをはっきりさせ、目標を達成に導くことは、生徒や保護者の満足度向上につながり、自然と生徒が集まる塾づくりの土台になるでしょう。

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